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ソングブックのこと1

パレットが終演し、新たに譜読みの日々が始まった。

譜読みといっても、実際安定的な演奏のためには練習と熟成の繰り返しが必要で、そういった意味では再度譜読みのし直し、といったところだろうか。

 

2月21日のAmazingBuds!では私はデヴィット・マスランカの「ソングブック」も演奏する。

時間の都合で数曲は割愛させて頂くが、それを差し置いても濃度の高い音楽だと思う。

 

音数の多少を巧みにコントロールしたマスランカの作風は、音色感を重要視するところから、技巧に重点を置きながら音楽を作っていくところなど、単純な言葉で言えば気をつけさせられる部分がかなり多い。

どの曲でもそうじゃないかと言われたら全くその通りで、そういう意味で特別に何かをすることは無いのだが…。

 

さて、この曲はマリンバとサクソフォンのためのデュオ音楽で、このジャンルの音楽では湯山昭氏のディベルティメントに次いで有名な音楽であると言えるだろう。

スティーブン・ジョルドヘイムとダン・リチェソンの両者により委嘱された音楽で、1998年に作曲されたそうだ。

 

楽曲を聴くと、演奏者のみならず聴き手にも高い集中力を求められる作品で、一度でも気を抜いてしまうものならば、一瞬で助長な音楽へと変貌してしまう脆さのようなものを感じられる。

この類の作品は演奏者の本質的な集中力とでも言おうか、そのような類の力量を高く求められ、ステージングやその振る舞い、呼吸の取り方一つまでも乱してはいけないような、そんなことを考えてしまう。

しかしそれも、マスランカという作曲家が「神への祈り」の音楽であるコラールをはじめとするバッハの音楽に尊びを持っていたというエピソードを添えれば納得だろう。祈りとはただひたすら、純粋に救いを求めるシンプルな行為であり、その中に不純な思いや動きが混在してしまえば、この曲は真に魅力を発揮できないだろう。

 

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