西村朗:水の影

曲名:水の影

Title : Water Shadows

作曲年:2011年

Composed year : 2011

作曲:西村 朗

Composed by : Akira Nishimura

編成:アルト・サクソフォーン独奏

for : Solo Alto Saxophone

委嘱:全音楽譜出版社主催 第18回「四人組とその仲間たち」コンサート

commissioned by : the 18 th annal concert of "Groupe des Quatre et ses ami(e)" organized by Zen-On Music

出版:全音出版社

Publisher : Zen-On Music Publisher

演奏時間:11分程度

Playing Time: 11min.

 

 

日本を代表する作曲家である西村朗のサクソフォンのための作品。

彼のサクソフォンのための作品としては、他に「サクソフォン協奏曲:魂の内なる存在」や、「ハラーハラ」といった作品が存在するが、この作品は前述のサクソフォン協奏曲を母体として作曲されている。

実際、サクソフォン協奏曲と水の影の旋律線には類似点が多く、ポルタメントを多用した粘度の高い音形などはその大きな特徴と言える。

楽曲の構成は一見複雑に感じるが、均整を感じさせるフォルムは存在し、A-B-A-B-Codaと大別できる(独自解釈)。

 

作品

書法や響きをあえて言葉に表すのならば無調的であると言えるが、実際感覚的な視点から音楽を聴くと、水という抽象的な概念を的確に五線紙に書き表している曲である。

本人解説によると、同作曲のサクソフォン協奏曲「魂の内なる存在」(1999)を母胎として生んだとしている。

 

特殊奏法について

・重音は往々として繊細なコントロールが必要なため、音量に制約がある事が多いが、そのような制約のない音を利用しており(独自感覚)、重音におけるこの曲の演奏効果の高さを感じさせる。(比較的当てやすい音が多い)

・微分音の臨時記号がシャープ方向のみで書かれている事は興味深い。(重音はこの限りではない)

4分の1シャープ、4分の3シャープといった臨時記号は存在するが、フラット方向の微分音はこの楽譜には存在しない。

 

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